Blueskyが専用ドメイン「.bsky」を申請 ネット上の名前を誰が持つのかを考える

Blueskyが専用ドメイン「.bsky」を申請 ネット上の名前を誰が持つのかを考える

ニュースの概要

Blueskyのトニー・シュナイダーCEOは、同社が新しいトップレベルドメイン「.bsky」をICANN(インターネットのドメイン名を管理する国際組織)に申請したと明らかにした。承認されれば、いまの「ユーザー名.bsky.social」に代わり、「ユーザー名.bsky」という短い名前を使える可能性がある。Blueskyは、ドメインを通じて利用者が自分のネット上の身元を自分で管理できるようにする考えを示している。申請は始まったばかりで、審査を通るかどうか、いつ使えるようになるかはまだ見えていない。

引用元: Bluesky、ユーザー向け「.bsky」ドメインを申請(Ground News)

分析・見解

借り物の名前を、公式の短い名前に格上げする試み

Blueskyの利用者名(ハンドル)は、実はドメイン名そのものである。初期設定では「alice.bsky.social」のように、Blueskyが持つbsky.socialの一部を借りている。自分のドメインを持つ人は、それをそのまま名前にできる。ここまでは既に実現済みだ。

今回の申請が狙うのは、この借り物の名前を、より短く公式感のある形に変えることだ。「alice.bsky」なら入力も楽で、Blueskyの住人だとひと目で伝わる。名前が短くなれば、プロフィールの紹介文や名刺にも載せやすくなる。

自前ドメインは強いが、一般の人には手間が重い

自分のドメインを名前に使う方法には、大きな利点がある。サービスを移っても名前が変わらないのだ。電話番号を持ったまま携帯会社を乗り換えられるのに近い。Mastodonでは「@alice@mastodon.social」のようにサーバー名が名前に入り、移ると住所が変わる。Blueskyの方式は、この弱点を避けてきた。

ただし、ドメインの購入、DNS(=名前と住所を結ぶ対応表)の設定、毎年の更新料が必要になる。多くの利用者はここで足を止める。結果として、記者や企業は自前ドメインを公式の印にし、一般の人はbsky.socialのまま、という二層構造が続いてきた。.bskyは、その間を埋める選択肢になり得る。

名前の貸主が運営会社のままという矛盾

ここに、この話の本質的な論点がある。.bskyの管理者はBlueskyになる。つまり名前の貸主は、やはりBlueskyである。Gmailの「@gmail.com」と同じ構図で、利用者は自分で管理すると言いつつ、登録簿の管理者に頼ることになる。

ただしAT Protocolには、名前とは別に、変わらない識別番号(DID)がある。ハンドルは後から付け替えられる表示用の札にすぎず、フォロワーや投稿は番号側に結び付く。仮に.bskyを手放しても、アカウントそのものは失われない設計だ。

ブランド専用ドメインの前例と、審査の長い道のり

.google、.bmw、.amazonのように、企業が自社専用のドメインを持つ例はすでにある。しかし、それらは自社サイトのためのものだ。利用者に名前を配る前提の例は、ほとんどない。成功すれば、SNS運営会社がドメイン空間そのものを使う最初の大規模な事例になる。SNSの名前が、メールアドレスのように「ドメインの持ち主」で区別される時代に近づく。

もっとも審査は軽くない。申請費用だけで数千万円規模とされ、結果が出るまで年単位かかるのが通例である。実際に使えるのは、早くても先の話と見ておくのが現実的だ。

ビジネスへの影響

公式アカウントは自社ドメインで先に整えておく

企業の広報や採用の担当者は、.bskyの承認を待つ必要はない。いまの時点で、自社ドメインをそのままハンドルにしておくとよい。「example.co.jp」と名乗るアカウントは、本物だと確かめやすく、なりすまし対策にもなる。設定は、DNSにひとこと記録を足すだけで済む。認証の仕組みを社内で説明できるよう、手順書を一枚にまとめておくと引き継ぎが楽になる。

仮に.bskyが使えるようになっても、自社ドメインの名前の方が公式性は高い。短さを取るか信頼を取るか、という選択になるはずだ。

短い名前の取り合いに備えて名称を棚卸しする

新しいドメインでは、人気の名前が早い者勝ちで埋まりやすい。.bskyでも、社名や商品名、個人名を第三者が先に取る恐れがある。今のうちに、守りたい名前の一覧を作っておきたい。とくに複数のブランドを持つ会社は、ブランドごとにサブドメインを用意する設計も検討したい。

あわせて、登録の優先期間や商標の申し立て手続きが公表されたら、すぐ動ける体制も要る。法務と広報で、窓口を一人決めておくだけでも違う。

分散型SNSへの投資は小さく始めて判断する

Blueskyの利用者数は、大手SNSと比べればまだ小さい。広告費を大きく動かす根拠にはならない。一方で、ドメインを名前にする発想は、他のサービスにも広がる可能性がある。

まず公式アカウントを一つ作り、投稿の反応と流入数を三か月ほど記録する。数字が見えてから、運用の人員を決めても遅くない。また、名前を貸す側が運営会社である点は、契約の約款と同じ感覚で確認しておきたい。規約が変われば、名前の扱いも変わり得る。

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